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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter62 『似ている』 62-6


「そうだよ。 言わなかったかな?」

(聖は軽く笑っていた。 晃は不機嫌そうに、呟いた。)

「用心しろ夏樹。」

「それが国の方針だ。」

「聖が言ったのは、その中の能力者ではないという意味だ。」

(夏樹は、僅かに痛む左腕をタオルで拭いながら、考えに耽った。)

『聖を恐れているせいか、あまり他の能力者が僕らに近づくことは無い。』

『彩さんからも聞いた事はない・・。』

『いつも僕らを診てくれるけれど、彩さんは。 他の能力者の人たちとも、

会っているんだろうか?』

『知らなかった。』

(晃は続けた。)

「その者が誰に与し、どう力を使うのか。 国に有害と判断されれば、

国から排除される。」

「だが、国に力を貸している奴が、正しい人間とは限らない。」

「俺達を含めて、皆、怪しいものだろう。」

(晃の言葉に、聖が笑った。)

「くっくっくっ。」



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