HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter62 『似ている』 62-8


「手を逃れることは、いくらでも可能だ。」

「あるいは、外国の能力者だね。」

(夏樹は、服の雫をタオルで拭いながら、聖の声に耳を傾けた。)

(だが敵が何者だったのかということよりも、別のことが、
夏樹の心に浮かんでいた。)

『特別な管理下にあるのは、僕らだけだと思っていた。』

『それなら、僕が子供の頃出会った、能力者たちも・・。』

『どこかで、監視下に置かれているんだろうか・・?』

(夏樹は、先程の異空間で、雨の中蘇った古い記憶に、思いを馳せた。)

トッ

(聖は、夏樹の様子に気づき。 そっと近づき、間近に声をかけた。)

「怪我は痛むかい?

彩君に診てもらうかな?」

(どこか楽しげに微笑む金色の瞳を見上げ、ため息混じりに答えた。)

「いいよ。

大したことないから。」

『なんだか、彩さんに会うのは躊躇う。』

「そうか。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ