HOMENovel
Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter62 『似ている』 62-9
パタパタッ
(丁度、新しいタオルを手にした紫苑が。 夏樹のもとへ駆け寄って来た。)
「はい、夏樹くん。」
(紫苑は手渡しながら、心配そうに見つめた。)
「風邪ひくといけないから・・、着替えた方が良いね。」
「あ、ああ。 ありがと。」
(紫苑の笑顔に、夏樹はどぎまぎした。)
「早く帰ろう。 みんな待ってるからっ。」
タタッ
(紫苑はそう言うと、異空間出口の扉の向こうに止まる、リムジンに向かい。
踵を返した。)
「くっくっくっ。 彩君より。 彼女の方が、良いか。」
(それを見た聖は、嬉しそうに金色の瞳を揺らした。)
「は?」
(不機嫌そうに睨んだ夏樹に、聖は小声で耳打ちした。)
「彼女に感謝しないとね。 夏っちゃん。」
「僕らがここへ来れたのは。 彼女が夏っちゃんを見つけたからだよ。」
「え?」
「ひよこが無くてもすぐに会える。」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』