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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter63 『ねんど工作』 63-3


シャララッ

(小さな制服に付いた、いくつものカラフルなマスコットのバッジや飾りが。
走る歩調に合わせて音を立てる。)

ゴッ・・

(小さな数馬のスニーカーは、立ち上る黒煙にふわりと埋もれ。
木々の生い茂る細道から。 いつもなら感じられる青草の香りさえ打ち消され。)

(煙は、あっという間に。 数馬の背丈に到達した。)

「ん・・。」

「でっかい、けはいだなっ!」

「スッゲー、強そ〜。」

(細道を抜け、角を曲がり。 広い中庭に辿り着いた数馬は、
カラフルなスニーカーの両足で。
強い気配を発する闇の前に、立ち止まった。)

『・・えっ?』

「なんで・・?」

「・・うかんでるっ?」

(気配を発しているのは、隣のクラスの少女だった。)

(不思議なことに、まだ闇化してはいないのに。
少女は意識を失い。 ほんの少し、地面から浮かんだ位置で、まるで
何かに捕えられているかの様に。 両手を引かれ、自由を奪われているように
見えた。)



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