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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter64 『小さな敵』 64-5


ヒュウッ・・

(数馬の瞬きする瞳に、風に舞い上がる黒い飛沫と。
辺りの芝生を巻き上げる。 空に立ち上る風の渦が映り。)

フワッ

(続いてスニーカーの足が、ふわり芝生に舞い降りる。
紺色のネクタイが、立ち上る風に揺れた。)

「あ!」

(数馬の顔は輝いた。)

(舞い上がる風の中心で、優しげな紺色の瞳が、
笑い掛けていた。)

「数馬。 大きければ、強いってわけにはいかないな。」

(夏樹は身体に纏った風を静かに解放しながら、
右手に付いた、闇の飛沫を振り払った。)

ヒュワッ

(闇と風がぶつかった瞬時に。 欠片の位置を察知した夏樹は、
闇の腕から、時の欠片を取り出していた。)

キンッ・・

(右腕には、輝く小さな欠片が握られていた。)

「夏っちゃん〜!」

「と、あやめだーっ!」



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