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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter65 『消える世界』 65-13


(クラスメイトが帰った後のガランとした教室の中に、
二人は残っていた。)

(蒲公英は、理恵が桜ヶ丘に住んでいると聞いて、
一緒に帰りたがったが。
慌てて、真っ先に教室を飛び出した数馬を追いかけて、共に帰って行った。)

キイッ

カタンッ

(理恵は、電気を点けず、オレンジ色から仄暗く。 影を落とし始めた教室の中で。
そっと椅子から立ち上がり。)

(窓辺に向かい。 遠く沈みゆく夕日を見つめた。)

「地上にも、まだ光があるのね。」

(遠く細くここからも見える。 輝く海岸線に、沈みゆく夕日は眩しく。 目を細めた。)

「あの国の・・、光が消えようとしているのなら。」

「少しもったいない気がするわ・・。」

(オレンジを反射する窓に、理恵は手をかけた。)

キイッ

(善は、立ち上がり。 苛立ちながら、小さな制服の。
紺色のネクタイを緩めた。)

「・・理恵・・。」

(善は名を呼び、窓辺の理恵に近づいた。)



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