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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter65 『消える世界』 65-7


「この街は本当に良いですね。

僕は、こんな良い処に来た事がないから。

何もかもが、めずらしいです。」

(善は、そう言いながら。
黒く煌めく瞳を、見開いた。)

「出来れば、もっと。

いろいろ見てみたい。

この街に、かくされたものを。」

(数馬は顔を上げ。 今やこの少年をじっと見つめていた。
少年の黒い瞳は艶やかで。 その口元は微笑んでいた。)

(声に耳を傾けながら、数馬は机の上で頬杖をついた。)

『・・何だろう?』

『こいつ・・。』

(大きな黒い瞳が、数馬には冷たく感じられ。
その奥の揺らめきは、微笑んでいる様にはとても思えなかった。)

『みんなは、何も感じないのか?』

(数馬は、クラスメイトを見た。)

(どうやら物珍しいこの二人に、夢中になってしまい。
クラス中が盛り上がっていた。)

「僕には、見えるんです。」



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