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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter67 『紺色の絵具』 67-3
カチャッ
サクッサクッ
(踏みしめる度、足元の芝生は、良い香りがする。)
「それって、絵を描く道具?」
(戸惑う紫苑を余所に、夏樹はすぐ隣にやって来た。)
(初めて見る道具に、興味津々で。 夏樹は、足元や、
木製の小さなテーブルに、幾つも並んだ油絵具を覗き込んだ。)
「いろんな色があるんだね。」
(チューブは、青色一つだけでも、何色もある様だ。
年季の入った木製パレットには。 まだ描き始めていない様だったが、
すでにいろんな色が沁み込んでいた。)
「・・うん。///」
(感心して、間近で覗き込む夏樹に。 紫苑の胸は高鳴った。)
(真っ白な指先が、琥珀色の小さなガラス瓶を拾い上げる。)
「これ、油?」
「ほんとに、油で描くんだ。」
(琥珀色のビンは、朝日に反射し、キラキラとしていた。)
「聖の屋敷にね。 幾つかあるんだ。
すごく古い。 洋風の、天使と悪魔みたいな絵で・・。
子供の頃見て、怖かったから、覚えてる。」
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