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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter67 『紺色の絵具』 67-5


(紫苑は、冷やりとした夏樹の体温を間近に感じ。
思わず声を上げた。)

カサッ カササッ

(良く見ようとそれ以上近づく前に、
白いタオルの向こうから、今度は数馬が駆け寄って来た。)

「あ! 紫苑っちだ〜っ!」

「クッキーうまかったぜーっ!」

(数馬は、許可を得る前に。 すでに小さな扉を開き、
白い柵を飛び出して来た。)

「紫苑っち〜!」

ポスッ

(数馬は、そのまま紫苑に抱きついた。)

「・・紫苑っち?///

数馬くん、お洋服、よごれちゃうよ。」

(夏樹は、数馬の襟首を掴んで、紫苑から引き離した。)

「こら、邪魔したらだめだろう。」

「夏っちゃんこそっ!

あーっ、クッキーもらえなかったからっ、すねてるんだっ!」

(夏樹に引き離され、数馬は手足をばたつかせた。)

「・・すねてないよ。」



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