HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter67 『紺色の絵具』 67-8


「う〜ん・・。 どんな色が良いかな・・?」

(紫苑は、倉庫から持って来た、飛びきり鮮やかな色彩の
いくつもの青い絵の具のチューブを、指でなぞり、楽しげに迷った。)

「ニャァ」

(クロは、キャンバスの目の前に腰かけ、覗き込んでいたが。
その大きなキャンバスには、いくつかの色彩が載っているだけで、
まだ、形を得てはいなかった。)

(それでも、紫苑の中には。
すでに、思い描いているものがあるらしく。)

(まだ誰の目にも見えない、そのキャンバスの先に。 描かれるはずのものに、
想いを馳せ。 一つの色の上で、手をとめた。)

「こんな、色だったね。」

(紫苑は、何かを思い出す様に。
深い紺色の絵具を取り出した。)

「ふふっ。 ほんと、

実物が見れると、嬉しいな///」

(パレットの上にしぼり出された。 深い紺色の絵具から、
オイルの香りが、微かに辺りに漂った。)

(クロは、めずらしいものを見る様に、
紫苑を見上げ。 小さく鳴いた。)

「ニャァ」

***



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ