HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter68 『忍び寄る影』 68-3


(見開かれた瞳は、まるで黒い絵の具を流した様。
大きく開いた瞳が、底知れぬ冷たさで。 数馬を見下ろした。)

『こいつっ!』

「オレのこと、探してたんなら。 ここでけっちゃくつけても!

いいんだぜっ。」

(黒い瞳は、ニヤリと微笑んだ。)

「別に・・、あなたのことなど。

探していませんよ。」

「言いたい事は、それだけですか?」

(そう言うと、善は、さらに数馬の方へ向かって
歩き出した。 黒い小さな皮靴が、芝生を強く踏み締めた。)

「あなたこそ、僕につきまとうのは

やめてください。」

サクッ

「なっ!」

サクッ サクッ

「良いめいわくですよ。」

(善は、すぐそばまでやって来た。 肩越しに並ぶと。
その身長差は明らかで。 善は数馬を見下ろした。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ