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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter69 『崩せないもの』 69-10


『でも。』

『側にいたら。 それだけで。』

『何も、聞かなくても良い様な気がしてくるの・・。』

(紫苑は夕日に、目を細めた。)

『「だって、時間はあるんだから。」』

(佐織の言葉に、紫苑は瞬いた。)

『そうだよね。』

トクンッ・・

「なのに・・、どうしてかな?」

(紫苑はそっと、胸元に手をやった。)

トクンッ・・

『今でないと。 どこかへ行ってしまいそう。』

「こんなにすぐに描きたいと思うの・・。」

「ドキドキするくらいに・・・」

(紫苑は、まるで、締めつける様な胸の想いに。
そっと、目を閉じ。
思わず、胸元の赤い大きなリボンを握り締めた。)

『胸の奥にも。 留めておけないくらい・・。』

『ドキドキするの・・。』



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