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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter69 『崩せないもの』 69-9


「わたし、紫苑の絵、大好き〜。 展覧会見に行くからっ。」

「がんばってね!」

(遠くから、佐織は声援を送った。)

「! ありがと〜!/// 佐織ちゃんっ、チイちゃん!」

(紫苑は大きく手を振った。)

トットッ

(右手に中庭が続く、窓ガラスの無い、柱と屋根で出来た渡り廊下は。
遠く海からの風を通し。 2人を見送る紫苑の長い髪を靡かせた。)

サァァッ

「夏樹くんの・・、

好きなもの・・、嫌いなもの・・。」

『わたし、夏樹くんのこと・・。』

『まだ良く知らない。』

(オレンジの夕日が、校舎の建つ風見ヶ丘から、
遠く。 街の先に薄らと見える海岸線へ。 降りて行く様子を見つめながら。
紫苑は考えていた。)

『今までいろんな街へ、行ったのかな・・?』

『子供の頃は、どんな子だったんだろう・・。』

『聞きたい事は、いっぱい。』



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