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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter69 『崩せないもの』 69-11
(それが、ワクワクする気持ちなのか、
それとも不安なのか。 紫苑には区別ができないほどだった。)
(ただ、とても描きたいものに出会った時と似ていた。)
『すぐそこにあるのに。』
『形にすれば、消えてしまいそう。』
(紫苑はきゅっと手を握り締め。
大きな茶色の瞳を、真っ直ぐに前に向けた。)
「夏樹くんも、きっと
がんばっているんだもの。 わたしも負けないわ。」
(佐織と、チイの声援が、
紫苑の胸に温かに流れた。)
「うん! がんばるねっ。」
(不安な気持ちを抑え、高鳴る気持ちに、
心は波打っていた。)
カタンッ
「すぅっ・・。」
(紫苑は深く呼吸し。 再び、大きなキャンバスの前に、腰を下ろした。)
***
「チイ、気づいた?」
(オレンジの光が射し込む渡り廊下で、佐織はチイに話しかけた。)
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