HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter69 『崩せないもの』 69-12


「ええ。」

(チイも笑顔で頷いた。)

「この前、展覧会用には、別の絵をもう描き上がったって、言っていたのに。

きっと、どうしても描きたいのね。」

「本当に、本当に、綺麗だったわ。」

(チイは大きなキャンバスの色彩を思い出し。
目を輝かせた。)

「あの子の中に、きっとあんなに素敵なものが、詰まっているのね。」

「すごい集中力!」

(佐織も、キャンバスを前に座る、紫苑の後ろ姿を思い出していた。)

「あの青・・見た事もないくらい、キレイだった!」

「あれ、

夏樹くんよね?」

(キャンバスは、まだ形を得ていなかったが。 溢れ出る色彩は、
紫苑の想いを映し、眩い青に煌めいていた。)

「思わず、言ってしまいそうだったわ。///」

(佐織は、嬉しそうに瞬いた。)

「自分で、気持ちに気づいているかしら?」

***



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ