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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter69 『崩せないもの』 69-3


「今日ね、生徒会が早く切り上がったし。 チイも、彼と会う約束が

ないらしいから。」

「ちょっと、買い出しに行こうと思ってね。」

「こんな時じゃないと、チイったら、わたしが生徒会がお休みでも、

なかなか遊んでくれないんだもの〜。」

(佐織は、チイの方に目配せしながら、紫苑にこそっとささやいた。)

「佐織ったら。」

(チイは気まずそうに微笑み、佐織はわざと怒った表情をしてみせた。)

「このっこのっ。 前からかわいかったけどっ!

ますますかわいくなっちゃってこの〜っ。」

「ふふふっ。」

(佐織にくすぐられ、チイは笑った。)

(焦げ茶色の丸くカールした短めの髪が。 品良く、焦げ茶色のリボンで
まとめられている。
丸い小さな頬に、丸い穏やかで優しげな瞳が女の子らしく。
胸元には、細く赤いリボンが留められていた。)

(背の高い佐織と並ぶと、とても対照的だ。)

「佐織ちゃん!

買い出しって・・もしかしてっ。」

(紫苑は予感に、わくわくした。)



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