HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter70 『夕暮れに染まる』 70-6


「・・わかりました。

私は、ここでお待ち致しますので。

行って来て下さい。」

(しぶしぶ菖蒲は、リムジンの前に引き返し。 夏樹を見送ろうと立ち止まった。)

「うん。」

(頷き笑顔を向け、夏樹は小さな路地へ歩き出した。)

(菖蒲は静かに見守っていた。)

(紺色の制服の後ろ姿が、少しずつ遠くなる。
幾人かの人波の向こうへ、進んだ時だった。)

ピルルルッ ピルルルッ

「はっ。」

(通信機の音に、菖蒲は胸元に手をやった。)

カチャッ

「もしもし。 静乃さん?」

(通話の主は、静乃だった。)

[「何してるの? 菖蒲くん。」]

「え?」

[「今日は、夕方から。 彩先生の健診でしょう?」]



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ