HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter70 『夕暮れに染まる』 70-9


(菖蒲は、ドアに手をかけたまま、尋ねた。)

「うん。

全然、平気だよ。

ただ。」

「ドキドキするんだ。」

(夏樹はそう言って、まるで。 心の奥から出そうな何かを抑える様に、
両手を胸にあて。 僅かに屈みながら、目を細めた。)

「・・闇と出会った時。

特にね。」

「何だろうな?」

「緊張で、胸の奥が疼くみたいなんだ。」

「ははっ、相手が強いって。

少しわかってきたから。」

「どこかで怖いと思っているのかも、知れないな。」

(微かに目を細め、揺れる深い紺色の瞳の揺らめきに。
菖蒲は息を飲んだ。)

『!』

『まったく・・怖いと思っているだなんて。』

『そんな気持ちまで、話して下さるとは!



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ