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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter71 『惹きつける場所』 71-10


「矛盾していることだと、分かっているでしょう。」

「欠片から離せば、早い回復は認められるけれど。」

「そう言っても、いられないはずよ。

これだけ顕著な、データが出ているんですもの。」

(彩は、持って来た、もう一つの書類の束を、机上に広げた。)

(広い室内には二人しか居なかったが。 全面鏡張りの特別な室内は、四方に反射し、
不思議な緊張感を醸し出していた。)

「夏樹君が居れば、闇化はより早まり。

その分、解決に一歩近づける。」

「診断の結果を国に報告したけれど。」

「街から帰すなと、あの首相でさえそうおっしゃったわ。」

(その言葉に、金色の瞳が細く笑い。
大きな両手の向こうで、ニヤリと口元が微笑んだ。)

「くっくっ。

あれだけ、外へ出すなと言っていたのにな。」

「あまり無理は、させたくないが。」

「夏っちゃんの、望む様になるなら。

僕は、それでいい。」

「彩。」



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