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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter71 『惹きつける場所』 71-9


「彩君。

能力を、より引き出せるようにコントロール出来る様になる代わりに。

自分の体温を、益々コントロール出来なくなる・・、なんて事例は

これまであるかい?」

(冗談交じりに微笑みながら、診断データを彩の座る真っ白な机の上に
軽く放った。)

「当然、無いわ。」

(彩は眉根を寄せ。 少し散らばったデータを、赤いネイルの指先で整え
受け取った。)

「驚くくらい下がっているね。

特に闇と出会った時に。」

「きっと本人は、夢中だろうから、気づいていないだろうけれど。」

(言いながら聖は、彩と向かい合う白いソファーに腰を下ろした。)

(白いスーツの上を、眩い銀髪が流れ。 ソファーの上に、美しく、髪先が揺れた。
両手を組み、見つめる視線を前にすると。 彩は少々、たじろいだ。)

「反動が出てもおかしくは無い。」

(無数の銀の指輪が光る手の奥で。 眩い金色の瞳が、細く光る。)

「夏っちゃんは我慢強いから少し心配だよ。」

「健康面では、彩君がサポートしてくれると、言ってくれたね?」

(問いかけに、彩は一息つくと。 眉根を寄せ、金色の瞳を見つめ返した。)



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