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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter71 『惹きつける場所』 71-6


「・・はい?」

「いや、それはまずいんじゃないでしょうか?」

「いえ。 きっと持ち出せませんよ。

すぐに見つかってしまいま・・す。」

(小声の提案に、躊躇う菖蒲の腕を、夏樹は掴んで歩き出した。)

「・・! 夏樹様・・っ。」

「わ、私は賛成できませんっ。」

(誰もいない研究所の廊下を、菖蒲は夏樹に引かれ、歩き出した。)

(そこから奥は、今まで入ったことがない。
彩は、聖の元へ報告へ行き。 すでに居ないと分かっていた。
今いる場所でさえ、すでに人気が無かったので。
研究員は、皆研究室方面に居るのだろうと思われ、セキュリティーさえ通れれば、
すぐに見つかる事は無い様に思われた。)

(だが、どう見ても、そこは入りたい場所ではない。)

(明るく、磨き上げられた床に眩しい程のライトが当たる。 正面ゲートへと続く方向と
真逆に奥深く続く。 その廊下の先は、

不気味に。 仄かに青く光る灯りが。 点々と仄暗い廊下の足元を僅かに照らし出し。
まだそう遅い時間ではなかったが、すっかり暗くなった窓からの闇が辺りを覆い。
少々ぞっとするほどの。 不気味な空間を創り出していた。)

「夏樹様・・。

よしませんか? きっと強いセキュリティーが掛かっていると思いますし。」

「・・何か出そうです。」



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