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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter71 『惹きつける場所』 71-8


「幾らなんでも、支え切れなくなってきている。」

(深くため息をつき、両手を白衣のポケットに入れたまま。
彩は真っ白なソファーに深く腰を下ろした。)

トサッ

(掛けた拍子に、白衣の胸元が揺れ。 少し肌蹴た美しい首筋に、
銀のアクセサリーが光り。 その先に、細い十字架が。 辺りのガラスの光を受け。
冷たい光を宿す様に見えた。)

(高く横に縛るポニーテールが、連日の研究で疲れているせいか、
僅かに乱れ、美しい頬に、幾筋かピンクのカールを描いていた。)

「それに引き換え、内側の力は、

途方もなく増しているわ。」

(彩は、この状況に悩んでいるというよりは、
興味深い発見を目にした時の様に、まるで喜びに似ていて。)

(そんな気持ちが湧き起こる事に。
自分の進むべき道を、改めて確信している様に見えた。)

「上手くコントロール出来ている。

聖君の言う通り。

普段使うより、眠っている力が大きいというのは本当ね。」

(彩は言いながら、巨大なシャンデリアが掛かる部屋の中央に。
先程手渡したばかりの診断結果を手に、涼しげな視線を向け立つ聖を見上げた。)

「ふ〜ん。 本当だね。 前の街ではこんなことはなかったが。」



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