HOMENovel
Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter73 『夜のひと時』 73-11
***
「くすくすっ。
なんだか、随分。 2階が賑やかですね?」
(遅く帰って来た誠司が、
明るいキッチンで、桜と二人お茶を飲みながら。
そっと、優しい視線を、天井へ向けた。)
「夏樹君。 無事に帰って来たんだって?」
「良かったですね。」
(誠司の言葉に、桜は気遣わしげに、
温かな瞳で見つめ返した。)
「ええ・・。」
「でも、お仕事に出れない様だから。
少し辛いでしょうね。」
「学校もお休みだそうだから、
少しゆっくり出来ると良いけれど。
菖蒲さんも、側にいて下さるし。」
「先生からも、ご連絡があったわ。 心配だけれど、普段通りにして欲しいって。
その方が、落ち着くそうだから。」
(桜は、お代りの緑茶を。 誠司の湯呑に注ぎながら。
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』