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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter73 『夜のひと時』 73-3


「それ、使ってみてねv」

(そう言いながら、千波は、紫苑の緩やかな薄手のスカートの。
小さなポケットから顔を出している。 小さな黄色いひよこを指さした。)

「ふふっ/// ありがとう。」

(紫苑は微笑み、温かな。 甘い香りの紅茶を両手でそっと口にした。)

***

サッ

シュッ シュウッ・・

(幾重にも、重なり厚みを出す。 キャンバスの上には、
様々な色合いの青が、変化しながら、混ざり。 複雑な深みを増して、
より一層。 鮮やかな青を生みだしていた。)

「夏樹くん・・。

大丈夫かなぁ?」

「菖蒲さんが、いるから。

きっと、大丈夫。」

(紫苑は新しい青を、筆先で混ぜた。)

「しばらくは、お休みって言っていたから。

ずっと、お隣に居るって・・、ことだよね。」

(闇に向き合い、危険な場所へ出掛けなくて済む。
そう思えば、安心して良いはずだったが。
紫苑はどこか不安だった。)



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