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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter73 『夜のひと時』 73-6


「はい。

紫苑です。」

(紫苑は、少々戸惑いながら。
黄色いひよこを両手に抱いて。 ひよこのすぐ側で、
顔を近づけ、話しかけた。)

[「もしもし、紫苑さん?

大丈夫?」]

[「何か、叫び声と、音が聞こえたんだけど・・?」]

(小さなひよこは、黄色い嘴を開き。
夏樹の声を届けた。)

「あっ///

ごめんね。 起こしちゃった?」

「あの・・ちょっとぴよちゃんが、大変なことに・・。」

ガララッ

(同時に、隣のベランダの窓が開く音がし、
紫苑はひよこを手にしたまま。 ベランダへ降りた。)

ガララッ

トットッ

(夜のひと時、静かにキャンバスに向き合っていたらしい紫苑は。
いつものエプロンを掛け。 途方もなく青色に汚れた。
小さなふかふかのひよこを、夏樹に差し出した。)



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