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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter75 『風見通信』 75-10


(チイの言葉に、一瞬立ち止り。 頬を赤らめたあと、ふるふると顔を振った。)

「ううんっ/// 描けただけで、良かったの・・。」

(紫苑は何か言いたげだった。
後ろに立つ静乃の方を、ちらりと見つめたが、佐織が背中から抱きつき。
チイも側に居たので。 それ以上話せなかった。)

「来てくれるわよ。」

(佐織は微笑み、チイは頷いた。)

「ね! 静乃先生。」

(静乃は、佐織とチイを見つめた後。
不安げな、紫苑の瞳を見つめた。)

「・・そうだと良いわね。 紫苑さん。」

(2人は、夏樹が来れないだろうことを、良く分かっていた。)

***

トゥルルルッ トゥルルルッ

カチャッ

(白衣をなびかせ、小柄な真紀が、慌てて研究室に鳴り響いた呼び出し音に。
壁面に設置された通信機を手に取った。)

「はい。 こちら第1研究室です。」

「あ! 静乃さんですかっ!? ご苦労さまです。」

「はいっ。 先生なら今、こちらにっ。 ちょっと待ってくださいね!」



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