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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter75 『風見通信』 75-12


***

「ええ。 でも大丈夫。 今は、お休み時間中だから。」

(職員室前、突き当たりの廊下で。 小さな窓を見つめながら、
静乃は通信機に耳を傾けた。)

「夏樹くんのことが気になって。」

(静乃は通話しながら、モニターに映し出された、今転送されて来た
経過データを見つめた。)

[「見ての通りよ。 安定してるの。」]

[「ある意味ね。」]

[「ベースが下がって、とても低い位置で。 落ち着いている。」]

[「エネルギーをぎゅっと詰め込んだみたいに。」]

(静乃は、数値に視線を走らせた。
通常の人では、あり得ない結果がそこには並び。
静乃の表情は曇った。)

『とても数日では戻って来れないわね。』

(美術展の開催中に戻してあげられたらと思ったが。
それを願うには酷に思えた。)

[「閉じ込められたエネルギーが、

高まり過ぎてるの。」]

[「コントロール出来なくなることもある。 だから逆に力を解放した方が良いと



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