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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter75 『風見通信』 75-18


「これは・・目を引く・・。」

「引き寄せられるのは、闇だけではありますまい。」

(榊はニヤリと笑いながら、新聞を折り畳むと。
小脇に抱え。 まるで目立つのを避けるかの様に。 やや背を屈ませ。
行き交う人波の中に紛れた。)

***

「まぁっ・・!」

「これは・・。」

『大変・・。』

(教室に戻った静乃は、女生徒から手渡された地方紙に写る、
1枚の絵画に。 目を奪われた。)

(そこで初めて、紫苑の描き出したものが何か知り。
大きな不安が静乃の胸に過ぎったが。
同時に、深い感動が押し寄せた。)

「なんて、素敵な絵・・。」

「実物を見てみたいわね。」

(記事を取り囲む生徒たちの顔は、期待に輝き。
絵画は、見る人の心を引き寄せる様だった。)

『きっと、FOTの皆はまだ知らない。』

『・・まさか、こんな形で。 目に触れるなんて・・!』

『でも、これは・・。 そうよね。 あくまで想像だから。』



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