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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter75 『風見通信』 75-3


(眩しい日が照らす外は、外出日和で。 すでに準備をして、外にではじめた
幾人かの小学生に見つからぬ様。 こっそりと、木陰の下に避難しながら。
手のひらに収まる小さな通信機を、艶は握っていた。)

「・・おぬし。 わらわを小学生あつかいしているのでは

あるまいなっ?」

(聞いて電話の相手は、笑った。)

***

「あははっ。

艶、そんなことないよ。」

「ただ、こっちの情報も。 これといって収穫がないし。」

「数馬はすごく気にしているから。

心配なんだ。」

(風見市の街が遠くから良く見渡せる窓辺に腰かけて。
夏樹は、良く晴れた青空を見上げた。)

「時雨や、静乃さんのデータでも、何の異常も見つかってない。」

「ごく普通の家庭の子たちらしい。」

パラパラッ

(手元の資料を、風が揺らし。 足の上から紙が滑り落ちない様に、
体勢を変えながら。 眩い日差しに、紺色の瞳を細めた。)

「艶は、どう思った?」



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