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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter75 『風見通信』 75-5


***

「行ってらっしゃい。

艶。 何かあったら、すぐに僕か晃さんに知らせて。」

「無茶はしないで。」

(夏樹は、資料を片手に。 左腕に留めた、黒い腕時計の文字盤を見た。)

(すぐに闇化しそうな点は、見当たらなかった。)

[「その言葉、そっくりそのまま。

おぬしに返すわっ。」]

[「何かあってもっ、おぬしには知らせぬ。」]

[「大人しく養生せいっ!」]

ピッ

(通信機は、勢い良く切れた。)

「ん・・。」

「わかっているよ。」

(夏樹は通信機を見つめ、瞬いた。)

トッ

カチャンッ

(燕尾服に身を包む菖蒲が、入れたての紅茶をそっと。 小さなテーブルの上に置いた。)



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