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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter76 『青い鼓動』 76-17


「大丈夫ですか? お嬢様。

お気をつけて、はぐれないで下さい。」

(心配して戻った菖蒲が、紫苑の手を引いてくれていた。)

「う・・、うん。」

「大丈夫。 ごめんなさい。」

(一瞬見た、まるで白昼夢の様な出来事に。
紫苑は瞬きした。)

***

(絵画の前に立った艶は、息を飲んだ。 流れる青い色彩は、
画面の右上部から、湧き出る様に吹き出し。 中央に立ち、右手を差し出す少年の
身体を覆いながら。 白く浮き出て、まるで触れられるかの様な、少年の白い指先。
指し示す先へ、流れ出ていた。)

『・・・!』

「・・これは〜・・、すごいね〜・・。」

(白は、だらりと両手の力を抜いていたが。 絵画から湧き出るエネルギーに、
感嘆し、目の前に広がる大きなキャンバスから光の様に輝き出る力に目を細め、
仰ぎ見る様に、天を見上げた。)

「眩しい〜・・くらい・・だね〜・・。」

(まるで、日の光を浴びる様に、白は深呼吸しながら、
微笑み。 艶の方へ顔を向けた。)

「本当じゃな。」

(艶は瞬き、絵画へ近づいた。)



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