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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter77 『残像』 77-1
「夏樹様! それはそれは、素晴らしい作品でした。」
(snow drop夏樹の部屋で、夕食後も、菖蒲は目に焼き付く紫苑の絵画を
思い出しては。 伝えようと語った。)
「そう。
で、なんの絵だったの?」
(なぜか、それを聞くと。 菖蒲は言おうとしては躊躇い。
言い出せずに、苦悶する表情をした。)
「何だよ。」
「じゃぁ言うなって。」
(目の前でそう言って笑う、透き通る程白い肌に、深い紺色の髪が揺れ。
きらきらと光る深い紺色の瞳は。 まさに絵画から浮き出た様だった。)
「・・・っ。」
(白手袋の手で眉間を押さえ、言いたい気持ちと菖蒲は戦った。)
「見て頂ければ、わかります。」
(先程から、二人は。 この問答を繰り返していた。)
「くすくすっ。 行けないから、聞いてるんだろ?」
ピルルルッ ピルルルッ
(物憂げに、窓辺に寄りかかっていた夏樹は、側の机に置かれた
パソコンから聞こえた呼び出し音に。 組んでいた両手を解いて、立ち上がった。)
(同時に、窓辺から吹き込んだ。 夜風が柔らかに、そっと白いカーテンを揺らす。)
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