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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter77 『残像』 77-10
「これからたくさん出かけようっ! せっかく街に来れたんだもん。」
(紫苑は両手をポンと打ち。 目を輝かせ、周囲の壁を彩る、
風見市の風景を描いた絵画を、一つ一つ指さした。)
「あのね、夏樹くんに見せたいところがたくさんあるの。」
「見て、これは、砂貝海岸でしょう。
それから、これが、風の丘草原。」
(紫苑の指先を、夏樹は視線で追った。
草原の彼方には、風力発電の白い風車があった。)
「きっと、どれも大切な瞬間を切り取ったもの。」
(紫苑は夏樹に振り返り、決意を新たにする様に、
大きく頷いた。)
「うん! 見にいかないなんてもったいないもんっ。
そうだ、明日の日曜日。 晴れたら風の丘草原に行こう!」
「お弁当持って、きっと気持ち良いよっ。」
(高い天窓から射し込む月明かりが、長く軽やかな髪を照らし、
幸せに微笑む笑顔は、ピンクの頬が可愛らしく。)
(壁に掲げられた青いタペストリーが、星屑を纏い。 ステップを踏む紫苑の足元を
キラキラと輝かせた。)
「えっ! 明日? ははっ、本部から呼び出されなければね。」
「もうっ。 夏樹くん。
戻ったとたん、お仕事はダメっ。」
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