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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter77 『残像』 77-11


「千波ちゃんも、聖さんも心配しちゃうよ。」

(夏樹は紺色の瞳を細めた。)

「聖は心配しないよ。

許可を出したのは、僕に出てほしいからだ。」

「んんっ、みんなに任せきりだったから、

少し動かないとな。」

(夏樹はその場で両手を動かした。)

「どういうわけか、欠片はこのところ静かだった。

でもきっと、また。 動き出す。」

(伸ばした両手を下ろす時。)

フワッ・・

(美術館の最奥から夏樹の元に吹き込んだ風が、
何かを告げている様な、気がした。)

「・・・。」

(夏樹は気になり、暗い館内の中で、唯一。 煌々と明かりの灯っている、
最奥の展示場を見つめた。)

(そこに何があるのか、二人の立つ場所からは見えなかったが。
強いライトに照らされているだけではない、何か。 不思議な力が、
そこにある様に思えた。)

「あの奥?」



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