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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter77 『残像』 77-12


「うん!」

(紫苑は期待と不安にきらきらと揺れる瞳を輝かせた。)

(すぐ隣で、真剣な表情で。 最奥の光を見つめる、深い紺色の瞳を、
紫苑は見上げた。)

『ずっと、描きたかった色・・。』

『星空みたいに。』

『深い、紺色の瞳・・。』

(瞳の色は色濃く、深さを増す夜空の様だ。)

『追いかけて来た色彩がそこにある。』

『でも、それは。

夏樹くんが戦いに戻った証拠。』

(二人は、仄かな明かりが足元を照らし出す、暗い廊下を歩きながら。
不思議な緊張感に包まれていた。)

「わたし・・、夏樹くんのことを、

少しでも知りたかったの。」

「どんな風に、風と仲良くなるのかなって。」

「どんな風に、あんなに怖い・・。

暗くて強い生き物と戦っているのかなって・・。」

(紫苑は一度見た、恐ろしく暗く蠢く。 黒い闇を思い出して



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