HOMENovel
Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter77 『残像』 77-4
キイッ・・
ガチャッ
(扉から聞こえた音に、紫苑はびくっと驚き顔を上げた。)
『!』
「きゃぁっ!」
(突然開いた玄関扉から、目の前に夏樹が現れた。)
(紫苑は思わず叫んでしまい、扉の向こうに立っていた紫苑に、夏樹も驚いた。)
「ん? わっ・・・、びっくりした・・。」
「どうしたの?」
(狭い2階の玄関前の踊り場で、紫苑は夏樹の間近に立っていた。
触れ合うほど、至近距離に立つと。 夜風のせいだけではない、
冷たい体温が。 夏樹から伝わる。)
「あ・・、夏樹くん。 出かけられるの?」
(上着を羽織っている夏樹を見て、紫苑の胸は高鳴った。)
「うん。 やっと、自由の身だよ。
そうだと思ったら、外に出たくて。」
(真っ白な素肌に、深い紺色の瞳が、優しげに揺れていた。)
「ちょっと・・、ちょっと待っていて!」
「パパにっ、鍵を開けてもらえるか、聞いてくるからっ///」
『 次ページへ 』 『 前ページへ 』