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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter77 『残像』 77-8
バタンッ
(大きな扉の向こうを見て、紫苑は息を飲んだ。
明かりの落ちた広い美術館は。 青い星空のタペストリーに覆われ。)
(天窓から射し込む月明かりと、奥へと続く天井は、
まるで、室外の星空が。 美術館の中へ、吸い込まれている様だ。)
「・・きれい・・。」
「星空が、続いているみたいね。」
(紫苑は、隣に立つ夏樹を見上げた。)
(ふわりと夜風を纏う、夏樹の顔は蒼白で。 伝わる冷たい体温は、
むしろ以前より酷い様だったが。)
「うん。」
(振り向いて笑う、瞳の輝きは強く。 色濃く、星空を集めた様な
深い紺色の瞳の煌めきが、紫苑を安心させた。)
「子供のころ、よくパパが連れてきてくれたの。」
「絵を見るとね。 見たことのない世界と出会えるからって。」
(大きな扉の奥は、仄暗く。 高い天井と、必要な足元だけに
小さく灯るオレンジの明かりだけが、館内を照らし出し。 奥へと続く広い回廊は、
白い神殿を思わせる大きな柱と、広い壁に掲げられた青いタペストリーに覆われ。
外から続く星空が、内部へ続いているかの様に見えた。)
(2人はまだ、入口に立って居た。)
「夏樹くんと来たかったの。 本当は、ドキドキするんだけどっ///」
「見てほしくて。」
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