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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter78 『青い鳥』 78-11


「紫苑さん。 それ、機械仕掛けなんだよ?」

「そう?」

(紫苑は、間近で夏樹の顔を見ながら、水彩の青絵具を、パレットに溶いた。)

(スケッチブックをなぞる筆先と、時々目が合う、紫苑の視線と。
交互に見た夏樹は、慌てた。)

「・・な、何?」

「また壊されるかもしれないのに。」

(紫苑は気にせず、またとないチャンスを逃さないかの様に。 真剣な茶色の瞳で、
夏樹を見つめた。)

「動かないでっ、夏樹くん。」

「うわっ/// ダメだ・・。」

「そんな風に見られるのは、苦手だ・・///」

(夏樹は慌てて白い両腕で、思い切り顔を隠した。)

「ええっ///;; なんで隠れるの〜?;」

「夏樹くん〜っ///;」

(紫苑は夏樹の腕を外そうと、腰を起こした。 騒ぎに驚いたピヨが、
鳴き出し。 2人の間、絵具や水入れ、パレットの間を走り出す。)

「ピヨッ ピヨピヨッ」

(触れた腕の冷たさに驚く間もなく、道具箱の間を飛び跳ねるピヨに、
紫苑は声をあげた。)



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