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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter78 『青い鳥』 78-2


(まくっていた、白いシャツの袖を戻しながら、誠司は、庭の角を曲がり。
アパート裏手の、いつも洗濯物を干している。 芝生の上へ、
サンダル履きの足で向かった。)

トットッ

「紫苑さん。 そろそろ夏樹君を起こしに行かないと。」

パサッ パサッ

(いくつも干された、洗濯物の向こうに隠れて、紫苑の顔が見えなかったが、
大きな白いタオルの裾をのばす紫苑の手が見え。 声に気づいた紫苑が、顔を出した。)

「パパ。 もう、そんな時間?」

(紫苑は慌てて大きな洗濯カゴを抱えて、ベランダに引き返した。
揺れる、レースのスカートの裾を太陽が照らし。 いつもと違って、少しまとめ、
可愛らしく結んだ紫苑の、明るいベージュ色の髪がキラキラ光った。)

「朝ご飯は、桜さんが用意してくれているから、向こうで食べても良いけれど。

数馬君が、来るころでしょう?」

「うん!」

(紫苑は庭を横切り、2階へと続く、小さな白い外階段を上がった。)

トットッ

「・・夏樹くん。 起きてるかな?」

ピンポーン

(2階の踊り場を過ぎ、紫苑は、自室の隣にある、夏樹の部屋の玄関のベルを鳴らした。)



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