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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter78 『青い鳥』 78-4


「わたしたちが来る前に、誰かがいたのね・・。」

「これは・・何かな?」

(紫苑は、不思議と何かに惹かれる様に。 机の上に置かれた、いくつものプリントに
手を触れた。)

(プリントには、Fの文字を象った鍵のような紋章が写し出され。
鍵の両脇には、赤い翼。 紋章の下には、金色の文字でFOTと刻まれていた。)

(部屋に無造作に散らばる書類のほとんどは、静乃から送られてくる
機密書類だった。)

「ん・・ん・・。」

(書類を拾おうとした時。 右手側の、書棚の向こうから、夏樹の微かな声が聞こえ。
紫苑ははっとして手を離した。)

トッ

キイッ

(書棚を開き。 奥の寝室を、そっと紫苑は覗いた。)

「ソファーに寝なかっただけ、えらいかもっ///」

(紫苑はベッドに近づき、そっと声をかけた。)

「おはよう。 夏樹くん。 朝だよ〜///」

(布団の外に、投げ出された白い腕が。 ぴくりと動き、
もぞもぞと眠そうに、顔を隠した。)

「んん・・。」

(紫苑は思い切って肩に触れ、揺すった。)



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