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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter78 『青い鳥』 78-9


***

コォォォーッ

(いつの間にか、芝生の上に横になっていた夏樹の頬を。
風が撫でた。)

『・・冠?』

『花冠・・。』

『数馬か・・? いや、誰だろう・・?』

(眠って、目を閉じている夏樹の少し先で。
芝生の上で二人向き合い。 蒲公英の小さな手が、数馬の頭上に、花冠を乗せた。)

ゴオォーン・・

(どこからか、鐘の音が聞こえる。)

ゴオォーン

(どこから聞こえるのか、確かめようとしても。 夏樹の目は開かなかった。)

『鐘の音だ・・。』

『遠くから聞こえる。』

(見た事もない、異国の衣を纏った。 美しい女性の指先が、
幾つもの眩い宝石を散りばめた、重量を感じさせるほど、大きな王冠を。 空色の髪の
少年の頭上に乗せた。)

ゴオォォォー・・ッ

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