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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter79 『太陽と月(太陽)』 79-5


(ソラは舌を出し、子ネコを追い払った。)

(子ネコは、向かいの家の。 『美空』の表札をちらりと黄色い目で見た後、
機嫌を損ね、つんと顔を上げ。 その場を後にした。)

「(チッ)・・・。」

(猫にまで、馬鹿にされた気がして、ソラは舌打ちし自分の家を見つめた。
古びた、日本家屋の小さな家が。 暮れかけた空の下。 どこか、寂れて、
ソラの気持ちは晴れなかった。)

(年季の入った、『天野』の表札を見て。 ため息をつき、
引き戸の玄関を開いた。)

『帰るのが、別の場所ならいい。』

ガララッ・・

「ただいま〜っ。 ・・つったって、

誰もいね〜か。」

(軋む木目の玄関を上がり、正面の、居間へ。 のれんをくぐり入った。)

「はぁ〜、暇だ。」

(テーブルの上に、メモ書きが何も無いのを見たあと。
居間を通り、そばにある、自室へふすまを開けた。)

バタンッ

ボスッ・・

(ソラはすぐに鞄を投げ捨て。 それだけでいっぱいになってしまう小さな部屋の、
ベッドの上に、上向きに倒れた。)



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