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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter80 『太陽と月(月)』 80-6


激しい音がし、息を飲んだ。)

「・・・っ!」

[「同じ手は、くわない。」]

***

(夏樹は、不安定な空間の狭間で。 激しい気流の中、
逃げ惑う“闇”を追った。)

バリバリバリッ ビュワッ・・!

(異空間の壁が、ガラスの破片の様に、砕け。 頭上に
降り注ぐ。 後方を振り返り。 右手から湧き出る風を起こすと、
遠ざかる、先程まで自分の居た、聖の創り出す異空間へロープの様に風を流す。)

(風を線路わきの、ガードレールの端へくくりつけ。 微笑み、
今度は左手から湧き起こす風で、逃げてゆく“闇”を捕らえ。 自分の方へ
引き戻した。)

「逃げるのはフェアじゃない。 望みの通り、僕も逃げない。」

「手加減は、しない。」

ゴワッ・・

バリリッ・・! パキンッ・・ バリバリバリッ!

(風は、“闇”を巻き込み。 異空間をきりもみし、回転して。 いくつもの、
流れゆく。 結界の。 創り出す、偽物の風見市の景色を通り過ぎては。
結界の壁を打ち破り。 七色に光る破片と、黒く燃える羽根を辺りにまき散らし、
元居た風見ヶ丘の崩れかけた異空間へ。 深い紺色の瞳が輝く視線の先で、
白い腕がのばす先へ。 夏樹は自身の身体に、“闇”を引き寄せた。)



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