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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter81 『Ability to・・』 81-22


ゴワッ・・!

(足早に歩く二人の先、坂道の途中。 桜並木の向こうに、
突然。 紫色のトンネルが口を開き。 中から、風が流れる。
黒と、薄い紫の霧の様に。 煙となり、異空間通路の気流が。 二人の頬を撫でた。)

「どうぞ。」

ガチャッ

(桜ヶ丘の上に、突如現れた真っ白な大きなリムジンのドアを、
白手袋の手が開いた。)

(夜の闇の中でも、白さは際立ち。 いつも目的地へ、確実に運んでくれる
移動手段は。 少々豪華すぎるながらも、自然と体に沁み込み。)

(独特の高揚感をもたらし。 夏樹を戦闘に向かわせた。)

***

バタンッ

キキキキッ・・

ブブンッ

(車窓の向こう、異空間の流れは荒れていた。
夏樹が壊したせいか。 不安定に揺れ動く、いくつもの通り過ぎる異空間を。 視線の
先に見た。)

「夏樹様。 そういえば、日中。 『狐次郎』という、

能力者の青年が。 本部に、夏樹様を訪ねていらっしゃいました。」

(窓の向こうを見ていた視線が、一瞬驚き。 見開いた後、運転席へ
ゆっくりと振り向いた。)



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