HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter81 『Ability to・・』 81-5


『・・・。』

(古びた紙に載ったインクは、かすみ。 一文字、見えるか、見えないかくらいだった。)

(しかし、夏樹は、紙片の上に。
見慣れた1文字を読み取った。)

「・・『樹』・・。」

『これは、能力者の名前の部分だろう・・・?』

「Ability to・・」

『能力の種類は・・、何て書いてあったんだ?』

「ここで途切れてる・・。」

(苦心しても読めるのはそこまでだった。)

(それ以上、何の情報もない紙切れに見える。 けれど、
いくつも保管されている。 能力者のデータ資料の中で。)

(それだけが、まるで、意図して失われているかの様に思われ。
何かを見つけた予感に。 夏樹の胸は高鳴った。)

ピコンッ

「はっ!」

(窓際のモニターから、メッセージが届いた知らせに。 視線を上げ、
メッセージの主が、研究所の所長。 彩から届いたものと確認して。)

(夏樹は思わず、PCの電源を落とした。)

「タイミングが良すぎる。」



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ