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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter81 『Ability to・・』 81-6


「資料を盗んで来たことを、怒られる様な気がするよ。」

「いや、健診に来いって催促かも・・。」

(苦笑して、机から離れると。 今度はドアをノックする音がして、
振り返った。)

コンコンッ

キイッ

「夏樹様。 お食事のお支度が整いました。

千波様がお呼びするようにと・・。」

(やや躊躇いがちにドアの向こうから覗き込んだ、長身の人物に、
夏樹は微笑んだ。)

「菖蒲。 良い物を見つけたよ。」

「何か、手掛かりになると良いんだけど。」

(夏樹は、部屋を後にし、入口ドアを開け。 待ってくれていた菖蒲に、
小さな紙切れを手渡し見せた。)

「誰か、これを消したかったんだと思う。」

「能力者のデータですね?」

(白手袋の手が紙片を受け取り。 間近で、自分を見上げる、
深い紺色の瞳を見返した。)

「焼けてしまっている・・。 ほとんど、読めませんね。」

「ああ。 これだけ、そんな状態なのが、反って気になる。」



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