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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】
Chapter81 『Ability to・・』 81-7
「何か、わかると良いな。」
「はい。」
(菖蒲は、頷き。 夏樹と並んで、1階への階段を下り始めた。)
トントントンッ
(夏樹は、焼け焦げた小さな紙片を、ポケットに仕舞い。
階段脇の四角く切られた、いくつも並ぶ小さな窓から。
射し込む街の夜景と、月明かり。 廊下を照らす、オレンジ色の明かりに光る。)
(艶やかな黒い燕尾服の肩を見て、つぶやいた。)
「ここに居る間は、ほんとに。
普段着でも良いんだけど?」
(意外な主人の一言に。 菖蒲は、黒縁眼鏡の奥の瞳を瞬いて、
立ち止ると。 やや小さな主人の方へ視線を下げて、
微笑んだ。)
「実は、桜様と蒲公英様に、執事で居てほしいとリクエストされておりまして。」
「私も、この方が落ち着きますので・・。///」
(夏樹は、本部に居るのと変わらず、整然と、美しく着こなしている燕尾服に。
胸元にも、きちんと白いハンカチが収められているのを見て。 くすくすと笑った。)
「ははっ。 菖蒲が良いならいいけど。
僕も見慣れてるから、他の服装してたら、近くにいても気づかないかもしれないからな。」
「そんなっ;」
(菖蒲は絶句し。 笑顔で、1階のダイニングへ降りる主人の後を追った。)
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