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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter83 『赤い方と青い方、赤いの』 83-10


(ニッと、水色の瞳が笑い。 その瞳は、恐怖よりも。
ワクワク感に、満ち溢れていた。 躍動するソラの鼓動が、伝わる。)

「俺が、あいつに出会ったのは夜だった。」

「夜なら出くわすかもしれない。」

(待っている恐怖に震えていたミイの、心は不思議と。 ほぐれ、
ソラから伝染するワクワク感に押されそうだった。
それはまるで、遊園地の、絶叫マシンに並ぶ時のようだ。)

「上手くいかなくてもいい。」

「出来ることをやろうぜ。」

(水色の瞳は、ミイをその瞳に映すと。
即座に、まだ賑わう夜の通りへ視線を走らせた。
視線の先に、遠く。 一つの明かりを灯している。 小さな移動販売車を見定め。
ソラは歩き出した。)

***

プワーンッ・・

(行き過ぎる車の、テールランプが。 夜の車道に揺れた。)

(風見市内では、大きいその通りは。 車通りもまだ多く、街路樹の向こうに、
混雑する車の流れがある。)

「・・・。」

(ミイは、ロイヤルミルクリームを目指し歩きながら。
聞こえたクラクションに。 ふと、道路へ振り向いた。)

「あれ?」



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