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Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter83 『赤い方と青い方、赤いの』 83-15


バッ・・!

ガタタッ

(突然、大きな手が、狐次郎の襟元をつかみ。 カウンターから引き上げた。)

(残っていた数枚のメニュー表が、地面にばらばらと舞い。 夏樹と狐次郎を、
それまで遠巻きに見ていた通行人も。 思わず息を飲み、立ち止まった。)

「・・・!」

(夏樹は、無謀にも、狐次郎を引きずり起こした人物へ、振り向いた。)

(それは、今朝校舎近くで、見掛けた人物だった。 その人物は、
狐次郎より少し背が低いくらいだったが、夏樹に比べれば長身で。 体格も良い。
怪しげな風体の狐次郎に臆することなく、威圧する視線で。 狐次郎を締めあげた。)

「・・あんた。 何してんの?」

「こっちは俺の知り合いだ。 今取ったものを、返せよ。」

(目の前に突然現れた、鮮やかな水色の髪の少年は、現れたとたんにその場の
空気を変えてしまった。)

(まるで、重い雲間から、青空がのぞいたように。)

「ひっひっ。 だってよ〜。 助けろや。」

(狐次郎は面白がり、奇妙に目を泳がせたまま。 ソラのなすがまま、思い切り両手で、
襟元をつかみ上げられていた。)

『・・お前を見れば、誰だって誤解する・・。』

(おそらく、かつあげをされ。 金銭をまきあげられたと勘違いしているソラに、
なんと言うべきか。 夏樹は眉間に手をやりうつむいた。)



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