HOMENovel

Novel 【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 空と夏樹の物語】

Chapter84 『三日月とソフトクリーム』 84-1


ゴォォォォーッ

バサッ・・!

(それは、水の中にもぐる感覚に似ていた。)

コポポッ

(不思議な圧力が身体にかかり、ソラは目を閉じた。
だが、それはほんのわずかの間で。 背中の翼が、力強く羽ばたくと同時に、
水面へ。 重い、空間通路を抜けた向こうへ。 3人の身体は、
押し上げられた。)

バササッ・・

「(ごほっ)・・っ!」

バシャシャッ

(プール際から上がったように、ソラの身体は水に濡れていた。
思わず、膝をつき。 下を向いた、水色の髪からは、ぼたぼたと水滴がこぼれる。)

「! なんだここっ。 すげー・・。」

(手を付いた、床を見て。 ソラは即座に顔を上げた。
そこはまるで、夜の中に浮かんでいるガラスの四角い箱部屋だった。)

キラキラキラッ・・

(出入り口はどこにもない。 四角いガラス張りの部屋の中に、3人は閉じ込められていた。
何より驚いたのが、四方のガラスの壁、天井、床の向こうに見える景色だ。)

(その四角い部屋は、空中に浮き。 周りには、暗い夜空に同じ様な、もっと巨大な
四角い箱がいくつも浮かんでは、ゆっくりと動き。 その箱の中には、
ソラたちが、馴染みある。 いつも目にする、風見市の景色が、切り取られて閉じ込め
られていた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ